現代美術家 川村 貴彦 - 通過点である現在の立ち位置を紐解く -
Interview
Takahiko Kawamura / artist interview
EVENT SPACE SOUTH / NORTH

現代美術家 川村 貴彦 - 通過点である現在の立ち位置を紐解く -

2025.1.10
開催日程
2025年01月25日(土曜日)〜 2025年02月16日(日曜日) の23日間
開催場所
イベントスペース・South & North (UNEVEN HUB STORE内)

現代美術家・川村 貴彦氏による企画展 『LOVE & LOVE』が、1月25日(土曜日)より開幕します。これに先立ち、川村氏にカジュアルなインタビューを実施。現在の心境を伺いました。

川村 貴彦 / Takahiko Kawamura

1970年 新潟市出身。 1991年 文化服装学園卒。 90年代後半より東京ファッションシーンにて、アパレルブランドにグラフィックを提供し、グラフィックデザイナーとして活躍。 2005年には、アーティストとして初個展を経験し、 2014年からは Gallery 360°を中心に活動を行う。 New Yorkでの個展から 8年の時期を経て、 2024年東京にて『 LOVE 』と題されたペインティングによる個展を開催した。

IG:takahiko_kawamura

--- 去年の7月に東京・Gallery 360にて開催された『 LOVE 』は8年振りの新作展となりました。どのような経緯で?

久しぶりに皆さんに見て頂きたいものが出来たので展覧会をやらせていただきました。

--- 手応えは?

沢山の方々に見てもらえたので良かったと思います。

--- テクニックとコンセプトのバランスが整った、すごく川村さんらしい作品に仕上がっていました。8年間の空白期間に考えたことは?

8年の間に子供が産まれ、コロナ禍があり、 33年暮らした東京を離れ新潟に移住をしました。そんな中でも毎日作り続けてきましたが、何か落ち着つかず制作しづらい状況が重なりました。しかし最大の原因は、良いものができなかった!という事ですね。

--- 辿り着いた現在の世界線やクリエーションをご自身でどのように考えていらっしゃいますか?

アプロプリエーションや、コンセプチュアルな(所謂絵を描かない)作品が好きで、学び制作発表してきました。しかし、いつからか窮屈さを感じていた。そんな時、子供が何かを描くところ見て良いと思った。何かを描くというのは自由で原始的な欲求だと改めて思いました。それら二つの異なった表現を合わせたかった。純粋に絵を描いているわけでもなく、隅から隅までコンセプトみたいなものでもない。出来た、と思えるまで 8年かかりました。( いまだ途中ですが、)

作品は例外もありますが最下層部が一番の表面に見えるように制作しています。普段見えないものが可視化され見えるものが背景になるという、形而上と形而下が交錯するイメージです。見えないものの象徴として " LOVE " という文字を使いました。(喜怒哀楽、だいたいの感情の元型は " LOVE " ではないかと思う。 " LOVE " が虚空に漂っているイメージ。) それがレイヤーの下層部で、そこから顔や模様を描いたり(正確には抜いたり)して、最終段階で背景を描くといった手順です。背景が一番手前の層という事です。

--- 川村さんの現代美術や美術文脈に対する知識は深く、本当に好きなんだなと感じます。だからこそ、アーティストとしての自分と向き合うことや、作品を生む苦しみが大きいのでは?

おそらく、本気で取り組んでいるアーティストは皆そうじゃないかな。自分も含めて。

--- 新潟を拠点にされてから、心境や作る作品に変化はありましたか?

東京では作業場と住居が一緒でしたが、新潟は家賃が安く容易に作業場を借りることができます。セパレートすると生活のリズムをつくりやすくてとても良い。最近は朝 6時半くらい(真っ暗で超寒い)から仕事を始めて 15時半くらいには帰ります。帰宅後は子供と遊んだり、ランニングしたり、たまに夕食を作ったり。好不調にかかわらずできる限りそうしています。

--- 新潟の良いところ、悪いところをお教えください。

食べ物がおいしい。地方都市の利便性もありながら水と空気が良い。ある程度歳を重ねるとそれがなにせありがたい。悪いところは、真冬は快晴日がほぼ無いというところですかね。

--- 今後の活動、アートそのものをどのようにお考えですか?

アートに対しては今のところモチベーションは下がっていないのですが、経済活動も大事です。なるべく自然な形で折り合いがつかないかなあ、と常に思っています。

--- お忙しいところありがとうございました。今回の企画展、楽しみにしています。

こちらこそ宜しくお願いします。名古屋だけでなく、全国の方々にも見て頂ければと思っています。

6 questions to Takahiko Kawamura

1 最近のルーティンを教えてください。

絵を描くこと。Tシャツをつくること。奥さんや子供に向き合い過ごすこと。たまに走ること。

2 新潟で今一番面白いと思う場所やお店は?

寿司屋は高い店も安い店でも大抵美味しい。車で一時間ほどで行ける瀬波温泉。海沿いの宿で、どの客室からも日本海に沈む夕陽が見えます。(宿代もリーズナブルで酒と鮭と牛肉が美味しい!)週一回子供の引率でYAMAHA音楽教室に通っています。親も学べるし楽しいです。

3 自分の中で定番となっている洋服や靴は?

自分で作ったTシャツ、スウェット。リーバイスやディキーズのパンツ。ビルゲン、レッドウィング、アークテリクス。たまにプリュス。

4 ずっと聴き続けている音楽は?

ビートルズくらいかなあ。「ずっと」と言われると。Apple musicから「最近の再生」を見てみると、コールドプレイ 「Moon Music」、タイラー・ザ・クリエイター 「CHROMAKOPIA」、The National 「Roma」、ケンドリック・ラマー 「GNX」、ロイル・カーナー 「Yesterday’s Gone」、ビートルズ 「Live at the BBC」、Fishmans 「男達の別れ」 、坂本龍一 「Opus」、ポリス 「Synchronicity」と出ました。午後はポッドキャストとかラジオも聞いています。

5 絵を描いていなかったら、今頃何になっていた?

どうでしょう、、、昔から棋士とか雀士には憧れます。あとは作家、物語を作る人。

6 絵を描くことや制作をすること以外で、今後やってみたいことは?

長いペーパードライバー期を脱し、自動車を購入しました。春になったら子供らとキャンプに行きたいです。

お問合せ

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UNEVEN HUB STORE / Nagoya

「想像を超える、人とモノのハブ体験」をテーマに、広々としたワンフロア(230坪/760㎡)を展開。周回可能な放射状レイアウトにて構成された小規模ショッピングモールのような発信拠点です。愛知県名古屋市西区天塚町という穏やかなロケーションにて、ファッションのセレクトショップ「UNEVEN HUB STORE」を起点とし、デザインと生活雑貨を取り扱う「Dhal Homes」、スペシャリティーコーヒーと焼き菓子を提供する「awai」、コンテンポラリーなレディースファッションを取り扱う「LILLT」、大小二つのイベントスペースとキッチンスペースを集約。多種多様な人やモノ、コンテンツが重なり合い、刺激し合うことで、想像を超えた体験を提供いたします。

IG:uneven_hub_store

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