「おすすめの面白いお店」と聞くと、どうしても似たような顔ぶれが並びがち。けれど、街をよくよく見渡せば、もっと静かに、もっと深く、店主の“好き”という熱量がにじみ出た場所が存在します。そんな人やそれにまつわる場所を、しがらみ抜きにして紹介していくのが、この偏愛的ローカルシティガイド。類は友を呼ぶというけれど、その独特なスタンスの向こうに、今どのような風景が見えているのか?カジュアルなインタビュー形式でコミュニケーションする不定期企画。
その人ならではの“好き”がにじみ出た場所って、やっぱり面白い!!
「WANG . WANG . STORE」
名古屋らしからぬ、ニアクリエイティブな新感覚カルチャースポット「WANG.WANG.STORE(ワン・ワン・ストア)」。単なるカフェやバーではなく、カルチャーと人をつなぐ場所として、食・音楽・アート・ファッションを自由に横断しながら、名古屋の街に新たな空気を送り込みまくっているハニくんに、「WANG.WANG.STORE」に込められた熱い想いをたっぷりと伺いました!!


--- お忙しい中、取材のオファーを受けて頂いてありがとうございます。オープンして3ヶ月くらいかな。あっという間だね。
はい。一瞬でした。日々を駆け抜けて、所々記憶がない(笑)です。今日は宜しくお願いします。
--- では早速。まずはハニくんのざっとした経歴を教えてください。
名古屋で生まれ、4歳の頃からインターナショナルスクールに通いました。小学校5年生でインターナショナルスクールを卒業し、6年生の1年間だけ普通の小学校へ。その後12歳でマレーシアの中高一貫校へ進学し、GCSEを取得しました。17〜18歳の1年弱を名古屋で過ごした後、コロナ禍の真っ只中にロンドンへ留学。ファウンデーションでビジネスを学んだのち、キャス・ビジネススクールへ進学し、2024年7月に卒業しました。
--- なんか凄いね。出来る人っぽい(笑)。じゃあ名古屋の洋服屋を回っていたのは5年ほど前って事だね。すごくピュアでファッション大好きって感じだったから印象に残ってる。ロンドン行くって時も、ちょっと寂しかったもんね。
はははっ。ありがとうございます。
--- でも、なぜこのタイミングでいきなり名古屋にお店を出そうと考えたの?そのあたりを詳しく知りたいな。
「お店を始めよう」と思ったのは、昨年の夏頃からです。名古屋で何かやりたいという気持ちが強まり、もともと好きだったコーヒーを軸にしつつ、ロンドンやヨーロッパで触れたカルチャーやアートの空気を、名古屋に持ち帰りたいという思いが芽生えたのがきっかけです。卒業後はアパレルやイベントの仕事にも携わり、実は当初、名古屋に戻る予定はありませんでした。ただ、家族と人生の半分以上を離れて過ごしてきた中で、「やっぱり一度、名古屋に戻りたい」と強く感じるようになりました。どうせ帰るなら、ただ帰るだけじゃなく、“自分の拠点”としての「お店」をつくりたいと思ったんです。名古屋には、感度の高い若者がたくさんいるのに、それを表現したり体験できる場所がまだまだ少ない。だからこそ、そんなエネルギーを解放できる場所をつくりたいという想いが、「WANG.WANG.STORE」をオープンする原動力になりました。


--- 若いのに考え方がすごくしっかりしていらっしゃる(笑)。シンプルにハニくんが考える「WANG.WANG.STORE」の魅力は?
「WANG.WANG.STORE」の魅力は、美味しいコーヒーやフードはもちろん、気軽に、日常的に、クリエイティブなシーンに飛び込めることです。名古屋にはまだ、ワークショップや音楽イベントを積極的に行うカフェは多くなく、そこにこそ新しい可能性があると感じています。僕自身まだ23歳だから、若い世代はもちろん、少し上の世代の方々も入りやすい空気感をつくれると思うんです。コンセプトは「カフェ」というよりも、むしろ**「ストア」や「カルチャー」**。コーヒーやワインを提供するだけの場ではなく、さまざまなカルチャーと出会い、つながれる場所を目指しています。
--- アートやクラフトのアーティストを招き入れたり、お店で家具を取り扱ったり、ハニくんのディレクションが気になります。周りを巻き込んでみんなで行こう!みたいなムードはすごく感じるよ。
ディレクションは「hook up」という考え方です。僕自身も周りに助けられてきた分、誰かを繋ぎ、繋がれながら、名古屋全体のカルチャーを盛り上げていきたい。助け合いながら共に成長していく、そんな場でありたいです。
--- 100点満点(笑)。今の名古屋で、ハニくんの問いかけ(クリエーション)は結構刺さってる気がします。実感は?
少しずつですが「WANG.WANG.STORE」は街に馴染み、若者だけでなく幅広い層の人が集まる場所になってきたと感じます。ただ、現時点では「カフェ・バーの一つ」という認識に留まっているのも事実。僕が目指すのは単なる「おしゃれなカフェ」ではなく、カルチャーの拠点。もっとワークショップやイベントを積極的に展開して、文化的なポジションを確立していきたいなと思います。
--- 元々好きだと思うけど、「WANG.WANG.STORE」とファッションとの相性はどうかな?
「WANG.WANG.STORE」はファッションとの相性がとてもいいと思います。僕らはカフェという枠を超えて「ブランド」としての立ち位置を目指しているからこそ、服や小物、ライフスタイルとも自然に結びつきます。最近はオリジナルグッズをつくったりして、海外からのオーダーも増えているので、今後はオンライン展開も進め、小物やアクセサリーまで広げていく予定です。


--- オリジナルグッズも結構しっかり作り込まれてて、今後の展開が楽しみだね!!最近のお客さんはファッション的にもカルチャー的にもどんな感じなの?
若い子たちはSNSを通じて多様なカルチャーを吸収していて、それをうまくファッションに落とし込んでいる印象です。とても感度が高いと思います。
--- 「ブランド」として、グラフィックやビジュアルにもこだわっているよね。良い意味でその世代の「今っぽい」を反映してると思う。
デザイン面では、ロンドン拠点と台湾拠点のグラフィックデザイナーと組んで、ブランディングを進めています。「名古屋らしさ」や「日本らしさ」に縛られず、新しい形をどんどん生み出していきたいですね。




--- ありがとうございました。そろそろ締めに入りたいと思いますが、今後やってみたいこと、展開などがあれば教えてください。
これからは、「WANG.WANG.STORE」をカフェという枠組みから抜け出し、「ブランド」として確立させたいと考えています。その先の新しいプロジェクトも見据えて、一段一段、階段を駆け上がっている最中です。僕は昔からリスクを取ることを恐れないタイプ。安定や安心よりも、挑戦し続ける人生を歩んでいきたいです。
--- コミュニケーションで熱量が伝わるというか、こちらまでポジティブな気持ちになるのは不思議ですね。やはり、周囲への細やかな気配りや、人を巻き込んでいく旗振り役としてのパワー、共感ベースのフレッシュな編集力がハニくんの大きな魅力なのだと感じました。今日はお忙しいところ時間を頂いてありがとうございました。今後の活躍を楽しみにしています。


WANG . WANG . STORE
( CAFE + WINE + FURNITURE + MULTI-SHOP )
〒460-0011 愛知県名古屋市中区大須3丁目9−20 文光堂ビル 1階
電話:080-9830-7968
IG:wang.wang.store
--- おまけ。これからやりたい事に挑戦する若者に一言。
やりたいこと、つくりたいもの、行きたい場所は、努力さえすれば基本的に実現できると僕は思っています。大切なのは「どうせ無理だ」と思い込んでしまう前に、まずは一歩踏み出してみること。行動することでしか見えてこない景色や出会いが必ずあって、それが次のステップへとつながっていきます。失敗してもいいし、遠回りしてもいい。動き続ける限り、その経験は必ず自分の糧になります。僕自身もそうして学び、挑戦し続けてきました。だからこそ、「自分の直感を信じて動いてほしい」と強く伝えたいです。
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UNEVEN HUB STORE / Nagoya
「想像を超える、人とモノのハブ体験」をテーマに、広々としたワンフロア(230坪/760㎡)を展開。周回可能な放射状レイアウトにて構成された小規模ショッピングモールのような発信拠点です。愛知県名古屋市西区天塚町という穏やかなロケーションにて、ファッションのセレクトショップ「UNEVEN HUB STORE」を起点とし、デザインと生活を取り扱う「DHAL DESIGN SHOP」、スペシャリティーコーヒーと焼き菓子を提供する「awai」、コンテンポラリーなレディースファッションを取り扱う「LILLT」、大小二つのイベントスペースとキッチンスペースを集約。多種多様な人やモノ、コンテンツが重なり合い、刺激し合うことで、想像を超えた体験を提供いたします。